ワオキツネザルの基本情報
ワオキツネザル英名:Ring-tailed lemur 学名:Lemur catta Linnaeus 分類:霊長目、キツネザル科、ワオキツネザル属 生息地:マダガスカル島 保全状況:EN<絶滅危惧IB類>
WAO!キツネザル
白黒の鮮やかなしま模様のある輪っかを持つ大きなしっぽが特徴的なワオキツネザル。
その名前にある「ワオ」は大きい目が驚いているように見えるからでも「ワオ」と泣くからでもありません。
しっぽ(尾)にわっか(輪)がついているように見えるということが名前の由来。
この名前は英名にある「Ring-tailed」をそのまま日本語に訳したものとなっています。
また彼らはマダガスカルの固有種ですが、マダガスカルには他にワオマングースという輪っかのあるしっぽを持ったマングースもおり、これも同じような由来になっています。
このひときわ目を引くワオキツネザルの尾は、マフラーのように首に巻き付けたり仲間に居場所を知らせるために使います。
ものすごいオシャレさんww
必死で身を隠す動物がいる中でこんなに目立って大丈夫?と思いますが、
マダガスカルでは敵がいないため目立っても平気らしいです。
まぁ長々と言いましたが、動物園で彼らをみたらその可愛さに「ワオ」と言ってしまうかもしれませんね。
においで決まる世界線
ワオキツネザルの社会ではメスがオスより優位にあり、メスが相手の群れのメスと戦っています。
オスではなくメスが戦う特殊な世界線。それがワオキツネザルの世界。
その様子は「ジャンプファイティング」と呼ばれていて、子供を背負ったままジャンプして蹴り合うこともあるそうです。
ちなみにその時オスは「におい」で戦っています。
メスは陰部にしかにおいを放つ部位を持ちませんが、オスは手首や肩などにも持ちます。
オスは手首から出るくさい液をしっぽにぬりつけてふり回し、くさいほうが勝ちの戦いをしているそうで1時間続く長期戦になることも。
オスは激臭であればあるほど健全で男らしいことを意味し、一瞬にして勝敗が決まります。
ただにおいで決着がつかない場合は、取っ組み合いが始まりますww
このにおいは他にも様々な特徴があります。
においは200種類以上の物質から構成されていて1頭1頭違っていたり、米デューク大学にてにおいの強さが健康状態を表すことも報告されていたりします。
またこのにおいは繁殖の際の異性へのアピールにも使われています。
オスのにおいは、人間にとってもいい香りがするというので一度僕も嗅いでみたいですww
ワオキツネザルの生態
分布
マダガスカル南部のあまり深くない森林や森林近くの乾燥地帯や川辺に生息。
多くは低地や丘陵地帯で見られるが、一部は標高2500mを超える岩の多い高地にも生息していて、多種多様な環境に順応できると言われています。
食性
花、果実、昆虫、カメレオンなどの小動物を食べる雑食性。
動物園などではサツマイモ、ニンジン、季節の野草、バナナ、オレンジなどを食べています。
ちなみにワオキツネザルは土に含まれている塩分を摂取するため土を食べることも知られています。
形態
霊長目キツネザル科に分類されるワオキツネザル。上記で紹介した以外にもたくさん特徴があります。
体長は40~50㎝、体重は1.6kg〜2.2kg、しっぽは約60㎝あり体より尻尾の方が長くなっています。
毛色は、背中が灰色や灰褐色で、目の周りは黒っぽく、顔や腹面は白っぽくなっており、耳は大きく白い毛が生えていて、目の色は金色、鼻には毛がなくて黒色をしている。
彼らは驚くほどの運動能力をもっていて、3メートル以上ジャンプすることができます。
これは体重の軽さのためできる技。
跳躍力があるため、歩くというよりも、幾分跳ねるような感じで移動しています。
そんなワオキツネザルは、樹上で食事や睡眠を取るため、木につかまりやすいように指先が丸く進化しています。
ただグルーミング(毛づくろい)するときに使うため足の人差し指の爪だけ長く鋭い鉤爪のようになっています。
他の指も使うことはありますが、人差し指は長く、細かいところや毛の中の奥の方まで届くのでよく使われるそうです。
行動
ワオキツネザルは「トループ」と呼ばれる複雄複雌の群れを作ります。
群れは6~30匹で構成されるが、多いのは17匹程度のグループで、最も強いメスが群れを取り仕切っています。
体温調節が苦手なワオキツネザルは、太陽の熱を利用して体をあたためます。
そのため冬場や朝は動物園でも野生でも日常的に日光浴を行っています。
連れ添ってひなたぼっこすることもしばしば。手足を開いて日向ぼっこする姿は癒しです。
またワオキツネザルは、コミュニケーションを頻繁にとっており、その手段もいくつかあるといわれています。
一つは鳴き声。
ワオキツネザルはさまざまな声を使い分けてコミュニケーションをとっています。
仲間に話す際は「ワーォ、ワーォ」、仲間を呼ぶ際は「コーン、コーン」とキツネのような声。威嚇の際は「ケッ、ケッ、ケッ」と鳴きます。
また毛づくろいもコミュニケーションをとる方法の一つで、お互いの体をなめ合ったり、毛を整えてあげたりします。
毛を整えてあげる際には、上で紹介した鉤爪以外に歯も利用します。
下の前歯6本が上向きではなく前向きに突き出してくし状に生えている「くし歯」を持っているのでこの歯を毛づくろいに役立てています。
ちなみにこのくし歯、キツネザル科とロリス科のみでみられる構造です。
あと、感情表現がとても豊かな動物で、自分の好物があると耳をパタパタと動かすんだって
全部が全部可愛いww
繁殖
ワオキツネザルは通常1度に1子を産みますが、双子の出産も確認されています。
ワオキツネザルの繁殖期は、4~5月。140日前後の妊娠期間の後、通常1匹の赤ちゃんを産みます。
飼育下では約15~25年、野生では16〜19年ほどの寿命です。
ワオキツネザルの仲間
その他の種は現在順次更新中です。もうしばらくお待ちください。
人間とワオキツネザルの関係
保全状況
マダガスカルの国獣に指定されているワオキツネザルですが、木炭用の森林破壊や食用、ペット目的の狩猟などの影響で、個体数を減らしています。
レッドリストでは絶滅危惧IB類に指定されており、近い将来の絶滅が懸念されています。
飼育する動物園
絶滅危惧種のワオキツネザルですが、日本では現在50ヶ所以上の動物園でのみ見ることができます。
現在展示されている動物園を紹介します。
愛知県の日本モンキーセンターの「Waoランド」は大人気!
2005年にオープンした「Waoランド」は、人が猿舎の中に入り、檻のないところでワオキツネザルを間近で見ることができます。
触ることはできませんが、歩行デッキの手すり部分でワオキツネザルが悠々と歩いてる姿に癒される人続出です。
下記にワオキツネザルを飼育している動物園をまとめましたのであなたの素敵な動物園ライフにご活用ください。
動物園 | 所在地 |
---|---|
旭山動物園 | 北海道旭川 |
大森山動物園 | 秋田県秋田市 |
岩手サファリパーク | 岩手県一関市 |
八木山動物公園 | 宮城県仙台市 |
東北サファリパーク | 福島県二本松市 |
かみね動物園 | 茨城県日立市 |
那須どうぶつ王国 | 栃木県那須町 |
那須ワールドモンキーパーク | 栃木県那須町 |
宇都宮動物園 | 栃木県宇都宮市 |
草津熱帯園 | 群馬県草津町 |
埼玉県こども動物自然公園 | 埼玉県東松山市 |
東武動物公園 | 埼玉県宮代町 |
狭山市智光山公園こども動物園 | 埼玉県狭山市 |
市原ぞうの国 | 千葉県市原市 |
千葉市動物公園 | 千葉県千葉市 |
市川市動植物園 | 千葉県市川市 |
上野動物園 | 東京都台東区 |
大島公園動物園 | 東京都大島町 |
羽村市動物公園 | 東京都羽村市 |
夢見ヶ崎動物公園 | 神奈川県川崎市 |
富山市ファミリーパーク | 富山県富山市 |
いしかわ動物園 | 石川県能美市 |
遊亀公園付属動物園 | 山梨県甲府市 |
須坂市動物園 | 長野県須坂市 |
富士サファリパーク | 静岡県裾野市 |
伊豆シャボテン動物公園 | 静岡県伊東市 |
日本平動物園 | 静岡県静岡市 |
浜松市動物園 | 静岡県浜松市 |
のんほいパーク | 愛知県豊橋市 |
東山動植物園 | 愛知県名古屋市 |
日本モンキーセンター | 愛知県犬山市 |
豊田市鞍ヶ池公園 | 愛知県豊田市 |
京都市動物園 | 京都府京都市 |
天王寺動物園 | 大阪府大阪市 |
NIFREL−ニフレル− | 大阪府吹田市 |
神戸どうぶつ王国 | 兵庫県神戸市 |
王子動物園 | 兵庫県神戸市 |
姫路市立動物園 | 兵庫県姫路市 |
姫路セントラルパーク | 兵庫県姫路市 |
アドベンチャーワールド | 和歌山県白浜町 |
池田動物園 | 岡山県岡山市 |
福山市立動物園 | 広島県福山市 |
ときわ動物園 | 山口県宇部市 |
小豆島銚子渓 自然動物園 お猿の園 | 香川県土庄町 |
とくしま動物園 | 徳島県徳島市 |
とべ動物園 | 愛媛県砥部町 |
わんぱーくこうちアニマルランド | 高知県高知市 |
のいち動物公園 | 高知県香西市 |
到津の森公園 | 福岡県北九州市 |
九十九島動植物園森きらら | 長崎県佐世保市 |
長崎バイオパーク | 長崎県長崎市 |
熊本市動植物園 | 熊本県熊本市 |
宮崎市フェニックス自然動物園 | 宮崎県宮崎市 |
平川動物公園 | 鹿児島県鹿児島市 |
ネオパークオキナワ | 沖縄県名護市 |
余談
アニメ映画にも登場
ワオキツネザルといえば映画「マダガスカル」に登場する「キングジュリアン」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
ニューヨークの「セントラル・パーク動物園」の「キツネザル舎」で生活していて1人称が「ワシ」の王様気質。
言動がアホっぽく、幼児向け番組を真剣に見て泣いたりととても純粋なサルで、キングの威厳とアホっぽさの落差が魅力的で非常に人気のキャラです。
キング・ジュリアンといえば「踊るの好き好き~♪」と言いながら踊るダンスで有名ですよね。
まぁ普通はメスがボスになるんでこんな性格にはならないんですけどね。
まとめ
島国では結構な種類の固有生物が息づいています。
日本もそうですが、マダガスカル諸島は最も有名な島国でしょう。
原猿類という猿の仲間の4分の3がマダガスカルの固有種だと言われているほどです。
本州の2.6倍の面積があるにしても、ここにしかいない生物を近くで見ることができる今の環境を守らないといけないなと改めて考えさせられますね。
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