シセンレッサーパンダの基本情報
シセンレッサーパンダ英名:Lesser panda/Red panda 学名:Ailurus fulgens styani 分類:食肉目、レッサーパンダ科、レッサーパンダ属 生息地:インド、中国、ネパール、ブータン、ミャンマー 保全状況:EN<絶滅危惧IB類>
パンダからの降格
今日「パンダ」と言ったら当たり前のように白黒で大きいジャイアントパンダを想像しますよね。
ただ、パンダという名前は1825年にヒマラヤで発見したレッサーパンダの名前を現地人に尋ねたところ、ネパール語で「竹を食べる者」という意味の「ネガリャポンヤ」と答え、「ポンヤ」が「パンダ」に訛ったとされています。
このことから分かる通り、初めはレッサーパンダが「パンダ」と呼ばれていたのですが、後にジャイアントパンダが有名になると、単に「パンダ」といった場合はジャイアントパンダを指すようになってしまい、
英語で「より小さい方」という意味の「レッサー(lesser)」や赤い毛色から「レッド(red)」を付けて、レッサーパンダまたはレッドパンダと呼ばれるようになりました。
ジャイアントパンダによって「パンダ」の呼び名が奪われた形になるわけです。
このように当たり前とか常識って時と場合、人によって左右される部分が大きいということは認識しないといけないですね。

一躍フィーバーアニマル
日本におけるレッサーパンダの歴史に欠かせないのが2005年に人気になった千葉動物公園の「風太」です。
当時、後ろ足2本で直立するということでマスコミに注目され全国的に話題になりました。
僕は当時小学生でしたがものすごい大フィーバーで、毎日テレビに登場してたのではないかという印象でした。
多摩川のたまちゃんは知らないですが同じぐらいの注目度だったんじゃないかと個人的には思います。
レッサーパンダは足の裏全体をつけて歩く「蹠行性」によって直立時の安定性が保たれて、後ろ足だけで立つことが構造的にできるのでそこまで珍しいものではなく、威嚇の際にも自分を大きく見せるために直立して両手を広げる姿が見られます。
ただただ可愛いww
さて、次のフィーバーアニマルは何になるのかな。(個人的にはバビルサが来日してくれると嬉しい)
シセンレッサーパンダの生態
分布
中国南西部の標高1500〜4000mの森林や竹林に生息しています。
食性
主に竹や笹を食べるが、昆虫や果実などを食べることもあります。妊娠したメスは鳥やネズミなども食べます。
動物園では笹の他にリンゴやバナナ、じゃがいもなどの野菜、ペレットなども与えており、園で開催している餌やり体験などでは餌としてリンゴがよく使われていますね。
野菜に関しては消化不良を起こさないように動物園では茹でて与えることが多いらしいです。
竹の葉は好んで食べますが、消化しにくく栄養が乏しいため、ほぼ自重と同じ量を食べるそうです…
そんな進化して食べるなら、もっと別のもの食べるようにしたらよかったのにと思っちゃいますね。

形態
レッサーパンダは食肉目レッサーパンダ科に属し、ネパールレッサーパンダと合わせて2種が確認されています。
体長はどちらも成獣で50〜60cm、体重は5〜6kgほど。
尖った耳と樹上でバランスを取る役割も持つ太く長い尻尾を持っており、尻尾には淡い褐色のリング模様があります。
毛は長くて柔らかく、四肢と腹部は黒い毛で覆われているが、口の周りや耳の端は白く、背面は栗色や茶色っぽい色をしている。腹部の黒い毛は樹上にいると保護色になり、地上にいるヒョウなどの肉食獣に襲われにくくなります。
体毛は足の裏まで覆われており、寒さから身を守るのに役立っています。
身体的な特徴として彼らの指は5本ですが、前足にある種子骨が6本目の指のような突起に変化しており、指と向かい合っているために物を掴むことができ、木登りにも生かされています。
これは同じ仲間のジャイアントパンダでも見られます。
全身骨格標本で親指のような短い骨を確認して見てください!
また、動物園で観察していると、しばしばお尻を木や地面に擦り付けているところが見られると思います。
お尻が痒いのだと思われる方が多いと思いますが、実は肛門周辺に臭腺と呼ばれる匂いを出すところがあり、それを地面に擦り付けてマーキングをして縄張りを主張していたりとかわいい動きの中にもしっかり動物の本能が垣間見られたりします。
シセンレッサーパンダはネパールレッサーパンダより体の体色が濃く、体が大きいのが特徴でまた尻尾の模様も濃いのでその点で判別できます。
野生下での寿命は8〜10年、飼育下では10〜20年で最高齢は山口県の秋吉台サファリランドの「バウバウ」で23歳まで生きた記録があります。

行動
夜行性で、縄張りを形成して生活しており、木登りが得意なので昼間は木の高いところで葉に隠れるように眠っている事が多い。
繁殖
日本では1〜3月が繁殖期で、妊娠期間は90日〜150日で1回の出産で1〜4頭の子どもを産む。
出生児の体重は100〜150g、体長15cmで手に乗るほどのサイズですが、成長は早く、半月ほどで離乳し、1年ほどで親と同じサイズに成長します。
子どもの体色は灰色で模様はほとんどなく、ふわふわの毛並みをしています。
普段は単独行動ですが、繁殖期にはお尻を地面に擦り付けるマーキングの回数が増え、オスとメスがペアを作って行動します。
出産の1ヶ月ほど前からメスが木の穴や岩の隙間などに苔や葉などの柔らかい植物を敷き詰めて巣を作り始め、メスのみで子育てをします。
シセンレッサーパンダの仲間
その他の種は現在順次更新中です。もうしばらくお待ちください。
人間とシセンレッサーパンダの関係
保全状況
レッサーパンダは宅地開発や農地開発のための森林伐採などによる生息地の破壊や毛皮やペット目的の密猟などのため生息数は減少しており、野生での生息数は約2500〜1万頭と推定されています。
現在彼らはレッドリストにおいて、近い将来における野生での絶滅が極めて高い絶滅危惧IB類に指定されています。
飼育する動物園
絶滅危惧種のシセンレッサーパンダですが、日本では現在50ヶ所以上の動物園で見ることができます。
現在展示されている中で注目の動物園を紹介します。
静岡市立日本平動物園は国内で飼育されているレッサーパンダの種別計画管理や日本で初めてレッサーパンダの人工哺育にも成功した事例から「レッサーパンダの聖地」と呼ばれています。
エントランスを入ってすぐにレッサーパンダ館があったりと非常に強い思いを感じる動物園で、毎日11:20頃に開催される「お食事タイム」では、リンゴをかじる可愛い姿が見られます。
下記にシセンレッサーパンダを飼育している動物園をまとめましたのであなたの素敵な動物園ライフにご活用ください。
国内の動物園
動物園 | 所在地 |
---|---|
円山動物園 | 北海道札幌市 |
旭山動物園 | 北海道旭川 |
釧路市動物園 | 北海道釧路市 |
大森山動物園 | 秋田県秋田市 |
八木山動物公園 | 宮城県仙台市 |
東北サファリパーク | 福島県二本松市 |
那須ワールドモンキーパーク | 栃木県那須町 |
那須どうぶつ王国 | 栃木県那須町 |
群馬サファリパーク | 群馬県富岡市 |
かみね動物園 | 茨城県日立市 |
埼玉県こども動物自然公園 | 埼玉県東松山市 |
東武動物公園 | 埼玉県宮代町 |
大崎公園子供動物園 | 埼玉県さいたま市 |
上野動物園 | 東京都台東区 |
多摩動物公園 | 東京都日野市 |
大島公園動物園 | 東京都大島町 |
羽村市動物公園 | 東京都羽村市 |
江戸川区自然動物園 | 東京都江戸川区 |
市原ぞうの国 | 千葉県市原市 |
千葉市動物公園 | 千葉県千葉市 |
市川市動植物園 | 千葉県市川市 |
夢見ヶ崎動物公園 | 神奈川県川崎市 |
野毛山動物園 | 神奈川県横浜市 |
よこはま動物園ズーラシア | 神奈川県横浜市 |
富山市ファミリーパーク | 富山県富山市 |
いしかわ動物園 | 石川県能美市 |
鯖江市西山動物園 | 福井県鯖江市 |
遊亀公園付属動物園 | 山梨県甲府市 |
茶臼山動物園 | 長野県長野市 |
楽寿園 | 静岡県三島市 |
富士サファリパーク | 静岡県裾野市 |
日本平動物園 | 静岡県静岡市 |
浜松市動物園 | 静岡県浜松市 |
のんほいパーク | 愛知県豊橋市 |
東山動植物園 | 愛知県名古屋市 |
京都市動物園 | 京都府京都市 |
みさき公園 | 大阪府岬町 |
天王寺動物園 | 大阪府大阪市 |
神戸どうぶつ王国 | 兵庫県神戸市 |
王子動物園 | 兵庫県神戸市 |
姫路市立動物園 | 兵庫県姫路市 |
姫路セントラルパーク | 兵庫県姫路市 |
アドベンチャーワールド | 和歌山県白浜町 |
池田動物園 | 岡山県岡山市 |
安佐動物公園 | 広島県広島市 |
徳山動物園 | 山口県周南市 |
秋吉台サファリランド | 山口県美祢市 |
とくしま動物園 | 徳島県徳島市 |
とべ動物園 | 愛媛県砥部町 |
のいち動物公園 | 高知県香西市 |
到津の森公園 | 福岡県北九州市 |
福岡市動物園 | 福岡県福岡市 |
大牟田市動物園 | 福岡県大牟田市 |
九十九島動植物園森きらら | 長崎県佐世保市 |
長崎バイオパーク | 長崎県長崎市 |
宮崎市フェニックス自然動物園 | 宮崎県宮崎市 |
平川動物公園 | 鹿児島県鹿児島市 |
余談
ディズニー作品の主役に
ディズニー作品にはしばしば動物が出演しましたが、ついにレッサーパンダがフューチャーされる作品が登場しました!
その名も「私ときどきレッサーパンダ」
特報を見たのですが、
ときどきレッサーパンダになってしまう10代の女の子“メイ”の姿を描いている。伝統を重んじる家庭に生まれ、母親の前ではいつもマジメで頑張り屋のメイだったが、ある出来事をきっかけに本当の自分を見失い、感情をコントロールできない状態に。そして翌朝目を覚ますと、なんとメイはレッサーパンダの姿になってしまっていた…。
という内容。
コミカルなシーンも多そうで、突然ピンクの煙とともにモクモクとモフモフで大きなレッサーパンダが登場する絵面はほっこりしていて面白そう。
なぜ彼女はレッサーパンダになってしまったのか。
2022年3月11日(金)ディズニープラスで独占配信ということなので期待して公開を待とうと思います。
写真集
なななんとレッサーパンダの写真集がありました。
北海道の円山動物園と釧路動物園のレッサーパンダたちの成長を記録した写真集で、
その名も「へんてこ!レッサーパンダ」という作品
石簾マサ(いしみすまさ)さんという道外から移住したカメラマンさんの作品なんですが、雪の上で遊んでいたりヨダレを垂らした姿などなかなか見られない姿が見られる非常に充実したものになっています。
まとめ
日本では多くの動物園でレッサーパンダを見ることができますが、これは世界的に見ると非常に珍しいことです。
なんと、日本はシセンレッサーパンダの飼育頭数は世界一を誇っており、2017年の時点で世界の飼育頭数の7割を占めています。
日本では絶滅危惧種のように感じない動物でも他国では見ることができないものも多くいます。
それは逆も言えることで、いつ見れなくなるかわからない動物たちのことを知ることで少しでも危機を回避できるといいですね。
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